なぜ私が渡米したか 2 希望と絶望の先に
海外で働いてみたい気持ちを抱えつつも私は学校を卒業後、小さなデザイン事務所で働き始めました。
私を含め社員数人の小さな会社です。
もちろん私は一番若く、雑務に追われる日々でした。
朝誰よりも早く出社し、片付けと準備、コーヒーを作る所から1日のスタートです。
私は名刺にはデザイナーとありましたが、実質は社長のアシスタント的な役割がほとんどで、毎日いろいろな事で叱られる日々でした。
しかし私には一人前のデザイナーになるという目標がありましたので、修行だと割り切り、空いた時間でデザイン画を描かせてもらい、提案し、ダメを出される日々を1年程続けたところ、採用はされないまでも最終選考に残るくらいの案を出せるようになりました。
そして気を良くした2年目に事件はおきます。
会社で大きなミスがあり、クライアントに数百万の損失を出すような事件です。原因は社長が画いた図面の寸法間違い(当時まだ図面は手描き)でした。そして社長はその失敗を私のミスだとクライアントに説明したのでした。
社長いわく、社のトップのミスでは社の信用にかかわる。二年目の新人のミスならダメージは少ないとの事でした。
社長には日々叱られていましたが、私が至らないのと私のために言って下さっているのだと信じてがんばってきましたが、その思いが崩壊する出来事でした。
そして私は3年そこで勤めあげて退社する決意をしました。